5.むくんだら


腎臓病というと、「むくむ」と思う人が多いようですが、必ずしもそうではありません。
腎臓病でむくむのはネフローゼ゙症候群、急性糸球体腎炎、急性腎不全および慢性腎不全の末期です。

  1. ネフローゼ症候群
  2. 腎不全
  3. 特発性浮腫
  4. むくむときに考えられる病気 
     (a)足が左右共に同じようにむくんだり、瞼がむくむ場合
     (b)片方の足がよりむくむ場合



Aネフローゼ症候群

ネフローゼ症候群は尿に蛋白が一日3.5g以上出てむくむ病気です。 足だけでなく瞼や顔全体がむくみます。この場合のむくみは腫れるのと違い 赤くはなりません。逆に白っぽくなります。 ひどくなると腹水がたまっておなかが膨れることになります。
ネフローゼの中でもこのようにひどく急にむくむのはリポイドネフローゼまたは
微小変化型とかいわれる腎障害です。 比較的若年者に多く、ステロイド療法が大変有効です。 腎不全になることも滅多にありません。 ただ、早く治療しないと静脈内に血栓(血の固まり)ができ、血栓性静脈炎といって 足がさらに腫れ上がり、その血の固まりが肺に飛んで肺梗塞という怖い病気を 併発することがあります。
このため、むくみがひどいときは血を固まりにくくする薬を投与します。 (例::少量 のアスピリン)
ステロイドを始めれば、通常は1週間程度でむくみが引けてきます。
一方、ステロイドが効かないものに巣状糸球体硬化症 (そうじょうしきゅうたいこうかしょう)という腎炎があります。 このタイプは残念ながら次第に慢性腎不全になることが多い病気です。
もう一つは比較的中高年に多く、徐々に始まりむくみの程度もあまりひどくない、 膜性腎症という病気があります。この場合もステロイドの効き目には個人差があり、 人によっては次第に慢性腎不全となるおそれがあります。
また、この病気はガンやB型肝炎に伴って起きることがあるので、注意が必要です。
これらの病気の診断をつけるには腎生検という検査が必要です。


 


B腎不全

急性腎不全は急激に腎臓の機能が低下するために、むくみが比較的初期から現れます。
一方、慢性腎不全では徐々に腎機能が低下し、
尿の量 もしばらくはむしろ多いためむくむことは少ないようです。 ただ、腎機能が30%以下になると人によってはむくみ、 治療を受けないで腎不全も末期となるとむくみで病気に気づく人もあります。 この場合は透析療法が必要となりますが、腎機能がまだ10%以上ある場合は 利尿剤という尿の量を増やす薬で治療します。



 


C特発性浮腫

決して腎臓病ではなく、そのほかにも心臓、肝臓、内分泌(ホルモン)など 検査をしても明らかに異常がない場合にこの病名がつきます。
思春期で月経不順の女の子や、逆に更年期に現れやすい女性に特有な病気です。
周期的にむくむことが多く、おなかが張るのも特徴です。
これは女性ホルモンの不調が原因と考えられますが、注意が必要なのは鬱病や 神経性食思不振症(拒食症)など精神的な病気に併発することが多い点です。
よく利尿剤を連用することが多いのですが、これは大変危険で血液中のカリウムが 尿から大量に失われ筋肉が麻痺したり、心臓が悪くなったりします。
塩分を控え、日中なるべく横になる時間を増やすなどして改善することが可能です。

利尿剤は特にむくみがひどいときだけ1〜2回服用する程度にして連用はさけましょう。



 


Dむくむ時に考えられる病気

(a)足が左右ともに同じようにむくんだり、瞼がむくむ場合。
まず、原因を考える場合大事なのはむくむ身体の場所です。
両方の足が同じようにむくむ場合、しかも立っているとひどくなる場合を考えます。
この場合、まず尿の検査をします。その結果蛋白が出ていれば腎臓病、 なかでもネフローゼや腎不全が考えられさらに検査が必要になります。
蛋白が出ていない場合は息切れが以前よりひどくなっていないかを考えます。
ひどくなっている場合、そして高血圧が以前よりある場合は心不全が考えられ 胸部X線検査が必要です。
肝臓病の中で肝硬変でも足がむくむ場合があります。 特に最近お腹が張ってきたと感じる場合はこの可能性があり、 血液検査で肝機能を調べればだいたい推測がつきます。
以上の病気で足がむくむ場合はすねのところを押すと指の跡が残ります。
むくんでいるのに指の跡が残らない場合は甲状腺機能低下症が考えられます。 最近さむがりになったとか食欲がないといった場合に可能性が高くなります。
このように腎臓、心臓、肝臓、ホルモン系など検査でどこも異常がない場合は 下大静脈症候群か特発性浮腫の可能性が高いと思われます。 下大静脈症候群とは腹部を通 っている下大静脈という心臓に血液が返る静脈の本管が 何かの理由で圧迫されている病気です。 この場合のむくみは日に日にひどくなるのが特徴です。
一方、女性で周期的にむくむ場合は特発性浮腫が考えられます。
これ以外にむくみと間違いやすいのが副腎の腫瘍によって副腎皮質ホルモンが 過剰に分泌されるクッシング症候群という病気で、この場合は中心性肥満といって 手足はやせ細っているのに体が太ってくるという特徴があります。

(b)片方の足がよりむくむ場合。
この場合は深部血栓性静脈炎といって足の筋肉の深いところにある太い静脈に 血栓(血のかたまり)ができる病気です。通常痛みを伴い赤く腫れるます。 これは病院で寝っぱなしだと起きやすい病気です。
またネフローゼ症候群の様に血液が粘脹になると起きやすい病気でもあります。 この場合血栓を溶かす治療を行います。






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