| (1)腎臓の働きの低下
腎臓の正常の働きが60%以上失われた状態を腎不全といいます。現在では総称して慢性腎不全と呼びます。
血液検査で言うと血清クレアチニン値が正常範囲をこえた時点で慢性腎臓病(腎不全)と言うことが言えます。詳しくはこのホームページのトップのページでご自分のクレアチン値を入力してご自分の腎機能を調べてみてください。ただしそのために毒素が体にたまり、いろいろな弊害を及ぼすのは通常30%以下に働きが弱ってしまった場合です。そして15%以下になると末期腎不全といって透析療法や腎移植をしないと生きていけなくなりますし、心不全や心筋梗塞、脳卒中が起こりやすいきわめて危険な状態になります。腎臓は2つありますが、特殊な場合を除いて両方の腎臓が同時に病気になるのが普通です。
以下のような体の異常が出現します。
・血清尿酸値の増加(腎機能をさらに悪くしたり、痛風の原因になる)、
・血清Ca値の低下(骨がもろくなり、足がつったりする)、
・血清リン値の上昇血管を石灰化し心筋梗塞や脳血栓、脳出血の原因となる)、
・貧血(腎臓でエリスロポエチンという赤血球をつくるホルモンが作られているのでこれが不足してしまいます)、
・血清カリウム濃度の上昇(正常は3.5〜4.8mEq/Lだが、これが6.0mEq/L以上になると心臓が痙攣して突然死する危険がある。カリウムは野菜や果物に多いのでこれを控えなければならない)、
・血清尿素窒素濃度(BUNともいう)の上昇、
・血圧上昇(血圧は腎機能が60%以下になったころから高めになりやすい)
などです。
これらは検査をしなければ自分で感じないことも多いので見過ごされる心配があります。
また腎臓病では尿の量が減ってむくむのが特徴と思われがちです。
しかしながらこのくらいの腎不全では必ずしもむくまないし、尿量もむしろ多くなる(1日2L以上、特に夜間に多い)のが一般的です。そして腎機能が10%以上あれば、薬や食事療法である程度普通に生活することは可能です。
腎機能がさらに10%以下になると(血清クレアチニン値が8.0mg/dl以上)いよいよ症状がひどくなり、体はだるくなり、貧血が進んでふらついたり、食欲が落ちていきます。
そして吐き気や呼吸困難(心不全の症状)になり、放っておけば死んでしまう危険な状態になります。
これを尿毒症といいます。
すなわち尿から排泄されるはずの毒素や酸が体にたまってしまうのです。
したがってこうなる前に透析治療を行う必要があります。
ですから、血清クレアチニン値が8.0mg/dl以上、または血清尿素窒素(BUN)が100mg/dl以上になったら透析を始めなければなりません。
(2)腎不全の原因
腎不全には急性腎不全と慢性腎不全があります。
急性腎不全は数日間で腎臓の働きがだめになってしまう怖い病気です。
その原因には出血や血圧の急激な低下、手術のあと、脱水症、薬の副作用( 抗生物質、鎮痛解熱剤、造影剤などが多い)、大怪我(大震災の後に続出した)、アルコールの多飲などがあります。
尿が全くでなくなってしまう場合と尿量は保たれる場合があります。
いずれにしろ50%の人は死亡する怖い病気です。
ただ良くなれば腎臓の働きは正常に戻る可能性も高い病気です。
一方、慢性腎不全は通常、年の単位で次第に腎不全になる病気です。
その原因で最も多いのが糖尿病、次が慢性糸球体腎炎です。
他にも高血圧、多発性のう胞腎、水腎症(石や癌で腎臓から出る尿がつまってしまう病気)などが原因となります。
慢性腎不全の場合は透析さえすれば最近の死亡率は大変減っていますが、腎臓の働きは腎臓移植を行わない限りは元に戻りません。
(3)腎不全の治療法
くすり:腎不全を治す薬はありません。
ただ腎不全のためにおきる症状を治す薬はあります。その中には
降圧剤(血圧を下げる薬、カルシウム拮抗薬、ACE阻害薬、AII受容体拮抗薬などがある)
利尿剤(尿量をふやしむくみを取る)
尿酸降下薬(一般名がアロプリノールといい、商品名ではザイロリック、リボールなど)
活性炭(カプセルに入っていてこれを飲むと尿素窒素値が下がる)などがあります。
食事療法:血清クレアチニン値が2.0mg/dlを超えるまでは塩分制限(1日5〜7g)だけ守ってください。
超えたらたんぱく質の制限が必要になります。
1日40g以下(普通は60〜80gぐらい食べている)にしますが、腎不全の進行を抑えるには30g以下にしないと効果があまり出ません。
ただそのためには特殊食品を使ってかなりの努力が必要です。
それ以外には血清カリウム濃度が4.8mEq/Lをこえたらカリウム制限が必要で生野菜、果物(Kが多い)を食べてはいけません。
水分の制限は尿量が減ってむくむようになるまでは必要ありません。
むしろ透析に入るまではたくさん水分を取ってもらいます。
また血清リン濃度が4.0mg/dl以上(正常は2.5〜3.6mg/dl)になったらリンの制限(加工食品、豆類、干物など)も必要です。
透析療法:いよいよ尿毒症になったら透析療法が必要です。
透析療法には血液透析とCAPD(持続型携行式腹膜還流)があります。
勿論もっとも根本的な治療法は腎臓移植です。
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