(腎臓ネット 塚本雄介)

RODの本来の骨病変は二次性副甲状腺機能亢進症による線維性骨炎である。これはPTH過剰による激しい骨変化であり、骨形成の亢進もさることながら激しい骨吸収により骨微細構造が破壊される。一方、骨粗鬆症においてはRODと比べればはるかに緩徐に骨吸収が進行し、骨微細構造がやはり破壊される。しかしながら骨粗鬆症の病理像は線維性骨炎とは明らかに異なり、むしろ骨形成能の低下した無形成骨に類似する。このことから無形成骨の治療に骨粗鬆症で使われている治療戦略が有効ではないかという可能性が検討され始めている。

表7:原発性骨粗鬆症と腎性骨異栄養症の診療上の相違点
原発性骨粗鬆症
腎性骨異栄養症
病態生理 性ホルモン産生低下による骨吸収の
亢進とCa消化吸収の低下(閉経後)。
加齢による1,25D3産生低下により
PTH分泌亢進、骨芽細胞活性の低下(老人性)
腎機能低下による1,25D3産生低下、
リン貯留からPTH分泌亢進(線維性骨炎)。
PTH分泌低下による骨形成の低下(無形成骨)。
食事療法、理学療法 カルシウム摂取の促進、
日光浴、運動の奨励
リン制限、運動の奨励
薬物療法
(保険適応のあるもの)
活性型D3、ビタミンK2、
ビスフォスフォネート、
HRT、カルシトニン、イプリフラボン
活性型D3、リン吸着剤
薬物療法のゴール 骨折の予防 血清PTH値を至適に保つ、
血清Ca値、リン値の適正化
骨代謝マーカー DPD、NTx、BAP PTH、OC、BAP
骨病変 骨吸収の亢進、骨形成の低下による
骨量減少と微細構造の崩壊、
その結果として骨脆弱性の増加
ならびに骨折しやすい状態
骨吸収、骨形成の高度な増加と類骨の増生、
骨髄内線維化の発生(線維性骨炎)。
骨形成の低下、一部骨吸収の残存(無形成骨)
骨折部位 脊椎圧迫骨折、大腿骨頚部、
とう骨遠位端、大腿骨下端、 上腕骨外科頸
腱付着部剥離骨折、大腿骨頚部、肋骨、鎖骨
X線所見 骨の全般的な粗鬆化 骨膜下吸収像、骨硬化と骨萎縮の
混在(線維性骨炎)。骨の全般的な粗鬆化
骨塩測定 診断と治療効果判定の主役
骨折多発部位(腰椎、大腿骨頚部)の測定
脊椎圧迫骨折は一般的でなく、
不均一な椎体の構造と血管石灰化により
腰椎測定の信頼性少ない。
PTH値と相関するのはとう骨遠位端1/3だが、
この部位は骨折しないので治療効果判定に
使えるかは不明。大腿骨頚部は今後検討必要。



無形成骨に見る骨粗鬆症の病態とその治療法の応用の可能性
<スライド(PowerPoint)によるプレゼンテーション>
本プレゼンテーションは2001年の第46回日本透析医学会におけるランチョンセミナー「塚本雄介:ROD診療に役立つ骨粗鬆症の診断と治療―無形成骨と骨粗鬆症の共通点」から編集したものです。
(クリックすると大きいサイズのスライドとテキストが見られます。)