2.腎臓病の種類(表)

  1. 慢性腎臓病
  2. 急性腎臓病
  3. 腎臓の感染症、腫瘍、奇形
  4. 尿細管の病気
  5. 遺伝がはっきりしている病気

病気の種類
病気
症状、身体の異常
腎機能が低下して透析が必要になることがある病気 慢性腎不全 だるさ、貧血、食欲低下、息苦しさ、むくみ
(いずれも末期になると)
急性腎不全 むくみ、尿量の低下、だるい、吐き気、息苦しい
慢性腎不全の原因となる病気 慢性糸球体腎炎
(IgA腎症をふくむ)
尿に血液や蛋白が出る.血圧が上がる場合も多い
糖尿病性腎症 血糖値が高い、眼底出血、インポテンツ、 足の感覚がなくなる、脳卒中、 動脈硬化、心筋梗塞
多発性のう胞腎 腎臓や肝臓が大きくなってお腹が張る、血尿、 高血圧、くも膜下出血の危険性(10%以下)、 大腸憩室
良性腎硬化症
(高血圧を長年放置するとなる)
高血圧
妊娠中毒症 妊娠28週以降に高血圧、むくみ、たんぱく尿
むくみのひどい腎臓病 ネフローゼ症候群
(リポイド腎症、巣状糸球体硬化症、膜性腎症をふくむ)
むくみ(顔に強い、ひどくなると全身) だるさ、尿にたんぱくが大量に出る
急性糸球体腎炎 むくみ、高血圧、血尿
尿が急に
出なくなる病気
前立腺肥大(次第に尿が細くなってから)  むくみ、息苦しくなる(心不全の症状)、血圧上昇
急性腎不全(薬剤性が多い)
急な血圧の低下や出血、 脱水のあと水腎症 (両方の尿管がガンや石で つまるとなる)
腎機能は低下しないが腎臓の一部の働きが失われる病気 ファンコニ症候群
(膠原病、抗生物質、 痛み止めなどが原因)
血糖が高くないのに尿に糖が出る
血清カリウム値が低下する、血液が酸性になる
バーター症候群
血液がアルカリに傾く
血清カリウム値が低下する、筋肉が麻痺する
偽バーター症候群
(利尿剤、下剤の連用が原因)
ギッテルマン症候群


A. 慢性腎臓病

「腎臓病」というとおそらく多くの人は尿に蛋白がでるとか、血尿がでるとか、悪くなると 透析療法や腎臓移植を受けるとか思い浮かべると思います。
その原因の多くは慢性糸球体腎炎です。さらに最近増加しているのは糖尿病性腎症といって糖尿病が悪化すると起きる腎臓病です。 これらの病気は次第に(通常数年間以上かかって)腎機能(正確には糸球体濾過値)を悪化させることがあり、その結果 透析療法や腎移植が必要な末期腎不全(または尿毒症とも言う
)になることがあります。これら慢性に経過する腎臓病を総称して慢性腎臓病とよびます。
この末期腎不全になる原因は、以前は慢性糸球体腎炎が一番多かったのですが、
1997年以降は糖尿病による腎障害が一番多くなりました。
ですから糖尿病が悪化するとかなり高い可能性で慢性腎不全になるのですが、慢性糸球体腎炎の場合は必ずしも悪化するとは限らないのです。
慢性糸球体腎炎もその病気の特徴でいくつかの原因に分かれます。 日本人に最も多いのはIgA腎症(あいじーえーじんしょう)です。 IgAというのは免疫グロブリン(Ig)という体を細菌やビールスから守る蛋白質で、その中のAというタイプが腎臓の糸球体にくっつくのが特徴的でこの名で呼ばれます。
そのほか、高血圧や動脈硬化の結果起きる腎
硬化症も比較的多い原因です。
またネフローゼ症候群(尿に大量の蛋白がでてむくむ病気)の原因となる病気としては膜性腎症、微小変化型腎症、巣状糸球体硬化症といった病気があります。
比較的稀な慢性腎不全の原因となる病気としては多発性のう胞腎(透析に入る原因の5%
)、妊娠中毒後遺症、アミロイドーシス、アルポート症候群などがあります。



B. 急性腎臓病

急性の病気としてはよく急性腎炎といわれる急性糸球体腎炎(β溶血連鎖球菌感染症の後2〜3週間後にむくみ、血尿、高血圧を発症する学童に比較的多い病気)が比較的多い病気です。
これは学童がかかってもふつうは1ヶ月程度で自然に治ります。
しかしながら尿細管が障害される急性尿細管壊死(きゅうせいにょうさいかんえし)や急性間質性腎炎{ある種の抗生剤、造影剤のような薬剤、出血によるショック、 事故等による筋肉の挫滅(横紋筋融解症)}が原因の場合は急激に腎不全になり生命が危険になる場合があります。
慢性腎不全は腎臓が元に戻ることはない一方、現在では生命の危険はそれほど 高くありません。それに比べて急性腎不全は死亡率が今でも高いのですが、良くなれば腎臓がほぼ正常に戻る可能性もある病気です。
また慢性腎不全は徐々に進行するため末期になるまで無症状で経過することも稀ではありませんが急性腎不全はむくみ、呼吸困難、嘔吐、だるさなど尿毒症の症状が強く現れます。



C.腎臓の感染症、腫瘍、奇形

急性腎炎、慢性腎炎の他の腎臓の病気としては急性腎盂炎腎臓ガン腎臓結石腎単純性のう胞腎動静脈奇形腎梗塞などがあります。



D.尿細管の病気

糸球体以外の尿細管の一部が特殊な原因で侵される尿細管異常症があります。
これに含まれる病気にはファンコニ症候群、尿細管性アシドーシス、バーター症候群ギッテルマン症候群ビタミンD依存症偽性副甲状腺機能低下症低リン血しょう性くる病などがある。

これらの病気は腎臓病といっても腎不全にはならず、 ほとんどの病気が薬で症状はよくなります。

ただ病気の元は今のところ治りませんが、近い将来遺伝子治療が可能になるでしょう。


E.遺伝がはっきりしている病気

多発性のう胞腎、アルポート症候群、シスチン尿症などがあります。
また糖尿病は遺伝病ではありませんがその素質は遺伝します。

バーター症候群ギッテルマン症候群
も多くは遺伝すると考えられます。




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