Last Updated 2007/03/12
その他

透析や移植につての基本][検査・診断について][透析患者さんのために][治療法・薬について][多発性嚢胞腎について][慢性腎炎について][腎臓移植について


●1.

CAPDって何ですか。

●2.

ネフローゼといわれましたが、どんな病気ですか。

●3.

IgA(アイジーエー)腎症ってどんな病気ですか。

●4.

多発性のうほう腎ってどんな病気ですか。

●5.

糖尿病で腎臓が悪くなるって本当ですか。

●6.

腎不全は治らないのですか。

●7.

二次性副甲状腺機能亢進症って何ですか。

●8.

PTH(ピーティーエイチ)って何ですか。

●9.

腎臓病でむくみがでるのはどのようなときですか。

●10.

腎臓が一つしかないと言われました。どのようなことに注意すればよいでしょうか。

●11.

起立性蛋白尿とはなんですか。

●12.

どのような病気で腎臓が悪くなるのでしょうか。

●13.

巣状糸球体硬化症(FGS)で血尿が出るのは良いことなのですか?

●14.

ナットクラッカー症候群とは何ですか?

●15.

片方の腎臓が2つに別れていて尿管が2本出ている、と言う奇形を持っています。これは危険ですか?

●16.


血管性紫斑病とはどのような病気ですか?


●17.

学童の紫斑病性腎症は治らない病気でしょうか?安静はどの程度必要ですか?

●18.
 
片方の腎臓を摘出すると腎機能は50%になるのでしょうか?またその後残された腎臓が悪くなることはないのでしょうか?

●19.

腎性貧血(腎臓が悪いとなる貧血)とはどのようなものですか?

●20.

多房性のうほう腎だといわれました。悪性である可能性はあるのでしょうか?また治療はどうしたらよいのでしょう?

●21.

腎血管筋脂肪腫といわれました。悪性でしょうか?手術が必要でしょうか?

●22.

繊維筋性異形成による腎動脈の狭窄について教えて下さい。

●23.

血液透析をしている男子ですが、生殖能力が妨げられることがあるでしょうか? 

●24.

後腹膜線維症で尿管ステントが入っています。将来、これがつまったらどういう治療法があるでしょうか?

●25.

慢性の頻尿に悩まされています。膀胱炎と思うのですがすぐにぶり返してしまいます。どんな病気が考えられるでしょうか。

●26.

腎臓病患者に対するインフルエンザワクチンの安全性および効果につき教えてください。

●27.

巣状糸球体硬化症と診断されました。現在、血清クレアチニン値は1.5mg/dLです。担当医からは妊娠はさけるようにと言われました。妊娠すると腎臓は悪くなるのでしょうか?

●28.

腎癌で片方の腎臓をとりました。今後の注意点につき教えてください。

●29.

プルーンベリー症候群とは何ですか?

●30.

突然血尿と左腎臓のあたりがいたくなり、左の尿管が細くなっていると言われました。この原因は何が考えられますか?また今後左の腎臓はだめになってしまうのでしょうか?

●31.

慢性腎臓病とはなんですか?


1.CAPDって何ですか。

透析法の一つで持続的携行式腹膜還流のことです。
(腎臓病のABCに詳しく説明してあります。)




2.ネフローゼといわれましたが、どんな病気ですか

尿に蛋白が一日3g以上漏れてしまい、そのためむくむ病気です。
原因別に3つの病気に分かれます。
最も多いのがリポイドネフローシス(または微小変化群)で比較的若い人に多く急に激しくむくむのが特徴です。ステロイドがとてもよく効きますが何回か再発しやすい病気です。腎不全にはなりません。
つぎが膜性腎症といってそれほどむくみはひどくないのですがステロイドはあまり効かず慢性化します。次第に腎機能が低下する場合があります。また癌が隠れていることがあり、注意が必要です。




3.IgA(アイジーエー)腎症ってどんな病気ですか。

日本人に一番多い慢性糸球体腎炎の一種で腎生検をしないと診断がつきません。血尿が特徴的で風邪を引いたりすると血尿がひどくなります。半数は慢性腎不全で透析が必要になると言われます。




4.多発性のうほう腎ってどんな病気ですか。

多発性のう胞腎Q&Aへ




5.糖尿病で腎臓が悪くなるって本当ですか。

慢性腎臓病の最も多い原因は現在では糖尿病で、腎不全になり透析療法をしなければならなくなる最も多い原因が糖尿病です。




6.腎不全は治らないのですか。

慢性腎不全は基本的には治りません。一方、急性腎不全は治る可能性があります。その原因とどれだけ早く適切な治療ができるかに左右されます。ただし腎臓移植は唯一治すことのできる治療です。




7.二次性副甲状腺機能亢進症って何ですか。

ビタミンDは腎臓で作られます。したがって腎機能が低下するとビタミンDが欠乏します。その結果 、血清カルシウム濃度が下がるわけです。これを直そうと副甲状腺ホルモン(PTHと呼ぶ)が沢山血液中に放出されます。PTHが常に沢山出続けると副甲状腺が大きくなりさらにPTHを沢山出すと言うようにいたちごっこになってしまいます。これを二次性副甲状腺機能亢進症といいます。重症になると骨折しやすくなったり、血管が石灰化して心筋梗塞や脳梗塞をおこしたり、その他かゆみなど色々な弊害を及ぼします。




8.PTH(ピーティーエイチ)って何ですか。

副甲状腺ホルモンの英語を省略したものです。
副甲状腺とは甲状腺の裏に通常4個ある米粒の半分ぐらいの大きさの器官です。そこから出されるホルモンは腎臓が正常ならば血液中のカルシウム濃度とリン濃度を正常に保つ重要な働きをしています。




9.腎臓病でむくみがでるのはどのようなときですか。

ネフローゼ症候群、急性糸球体腎炎、腎不全で尿が出なくなったときです。




10.片腎(腎臓が一つしかない)と言われました。
  
どのようなことに注意すればよいでしょうか。

原因にもよりますが、残された片方の腎臓は2つ分の働きを強いられます。その結果長い間には残された腎臓には負担がかかり、腎硬化症という慢性腎臓病になり腎機能が低下していってしまう可能性があります。その兆候は尿蛋白と血圧の上昇です。それを予防するにはたんぱく質(動物性などすべてを含む)のとりすぎと塩分を控えることです。また禁煙も重要です。嗜好品ではカフェインの含まれている飲み物は避けるべきです。その上で年に最低1回は検尿を血圧チェックを受ける必要があります。




11.起立性蛋白尿とはなんですか。

未成年がほとんどで、立っていると尿に蛋白が出てくるが、横になると消えます。無害で成長すると蛋白は消えます。




12.どのような病気で腎臓が悪くなるのでしょうか。

糖尿病、慢性糸球体腎炎、高血圧、多発性のう胞腎、膠原病、薬剤の副作用などが主な原因です。詳しくは「腎臓病のABC」を読んでください。




13.巣状糸球体硬化症(FGS)で血尿が出るのは良いことなのですか?

1。巣状糸球体硬化症という病気は一般には蛋白尿が主体で、 血尿は少ないのが特徴です。 しかし、血尿が蛋白尿と同時にみられることも決して稀では ありません。
2。巣状糸球体硬化症の診断は腎臓の組織検査で決まります。 その際、腎生検で採取した腎組織を光学顕微鏡、電子顕微鏡、 蛍光抗体法の三つの検査で検討します。この三つの検査は 大きな医療施設であれば、必ず行っていると思います。 巣状糸球体硬化症はこの三つの検査所見を総合して行います。




14.ナットクラッカー症候群とは何ですか?

左の腎静脈が腹部大動脈と上腸管膜動脈にはさまれて、圧迫されることにより腎臓のうっ血や出血をきたす状態を言います。横から見ると、くるみわり(ナットクラッカー)のようなイメージになるため、このような名前がついています(左腎静脈が割られるクルミになります)。腎静脈も上腸管膜動脈も正常の解剖学的な位 置関係にあるのですが、それの間隔が短かったり、上腸管膜動脈の分岐の角度が急峻であるためにこのような現象があらわれると思われます。
診断には、血尿の部位が左側の腎臓であることを膀胱鏡で確認後、血管造影あるいは精度のよいCTかMRIが必要となりますが、本当は立位 で検査すべきところを寝て検査を行うわけで、これでも決して100%診断がつくわけではありません。 悪性疾患でもなく、腎機能を進行性に悪化させる病気でもないので、治療はほとんどの場合、必要ありません。
例外的に、貧血が進行するほどの出血(血尿)が続く場合には、出血している腎盂粘膜を硝酸銀溶液などで焼灼するような対症療法を行います。それでもうまく出血のコントロールができない場合には、手術をおこなうことになるかもしれませんが、きわめてまれなケースでしょう。一般 的には、あまり気にしなくてもよい疾患です。




15.片方の腎臓が2つに別 れていて尿管が2本出ている、と言う奇形を持っています。これは危険ですか?
 

この奇形は「重複腎盂尿管」と言い、腎尿路の奇形のうちで最も頻度の高いもので、これ自体は何ら問題はありませんし、治療も必要ありません。ただ、まれに他の異常を合併することがあり、それが治療を要するということはあります。2本の尿管が最後まで合流せずに膀胱まで別 々に到達するのを完全重複腎盂尿管といいますが、2本の尿管のうちの1本が膀胱の異常な場所に開口した場合は、尿失禁の原因となったりします。開口部の狭窄で尿管が太くなったり、こぶのようになったりすることもあります。生まれつきの尿失禁の既往もなく、レントゲン上で重複尿管以外に異常がないのならば、心配無用です。




16.紫斑病性腎炎とはどのような病気ですか?


紫斑病性腎炎は小児に多い病気ですが、20-30才代でも、けして稀れではありません。紫斑病性腎炎は皮膚に紫斑が生じるため、このような病名がついています。その他、腎臓や消化管、関節などに異常が生じることがあります。腎臓の病気、すなわち、紫斑病性腎炎は皮膚の紫斑と同時に始まる場合もありますが、おくれて始まってくる場合も少なくありません。皮膚の紫斑は、しばしば繰り返すこと(再発)がありますが、紫斑病性腎炎は多くの場合1年前後で蛋白尿や血尿が消失し、再発はほとんどありません。そして、腎臓の病気の程度は蛋白尿の程度とほぼ比例します。




17.
学童の紫斑病性腎症は治らない病気でしょうか?安静はどの程度必要ですか?

紫斑病性腎炎であれば蛋白尿や血尿は徐々に少なくなりま す。 9割以上は1年以内に蛋白尿や血尿は消失し、完全寛解の状態になります。 再発は多くの慢性腎炎と異なり、ほとんどありません。もし、良くなったあとに 蛋白尿や血尿が3+-2+と再び出現してきたら、他の腎炎との鑑別のために腎生検 が 必要になってきます。とくに、IgA腎症との鑑別が大切になってきます。それ は、 IgA腎症が一生続く病気だからです。 一般に腎臓の病気はその急性期は安静が必要ですが、1ケ月程度過ぎたあとは なるべ普通の生活をしながら長期にわたる腎臓の病気を治療してゆくことが 大切です。とくに、慢性腎炎の場合はそうです。 お子様の紫斑病性腎炎の場合は確かに腎臓の病気が始まってから1ケ月前後は 入院なり、自宅安静が必要ですが、その後は自然の経過で軽快してゆくことが 大部分ですから、なるべく、学校生活は普通にした方がよいと考えます。 ただし、以上の療養に関する事柄はお子様を実際に診ていただいている主治医の 先生のご意見を伺った際の参考にしていただければ幸いです。




18.片方の腎臓を摘出すると腎機能は50%になるのでしょうか?またその後残された腎臓が悪くなることはないのでしょうか?


摘出した直後は50%になりますが、その後次第に増加し70から80%程度まで増えることになります。またそのことにより数十年の間に負担がかかって腎硬化症になる場合があるのでたんぱく質(特に動物性)をとり過ぎない、塩分を控える、タバコやカフェインを避ける、定期的な(年1回)尿検査、血圧のチェックが必要です。




19. 腎性貧血(腎臓が悪いとなる貧血)とはどのようなものですか?


腎性貧血は腎機能が30%以下(クレアチニン値2.0以上)になると起きる貧血です。その原因は腎臓で作られるエリスロポエチンというホルモンが慢性腎臓病により作られなくなってくるためです。エリスロポエチンは赤血球を作るのに絶対に必要なホルモンなのですが、それを主に作るのが腎臓なのです。さてその治療は血色素量(ヘモグロビン)が10g/dL以下になったら必ず始めなければなりません。ちなみに8g/dL以下では貧血の症状(疲れやすい、息切れなど)が生じやすくなり、6g/dL以下では大変危険な状態になります。治療法はエリスロポエチンの注射です。これは血液透析をしている場合はその透析に合わせて週3回静脈注射をし、まだ透析をしていない人やCAPD腹膜潅流をしている人は週1回から月2回の範囲で皮下注射をします。高価な薬ですが、この注射のおかげで以前は輸血しか治療手段がなかった腎性貧血が治るようになりました。そのほかの治療法としては鉄の補給があります。透析をしていない場合は鉄剤の内服で、透析をしている場合は注射で鉄を補給する必要があります。エリスロポエチンの副作用は高血圧がある場合にこれを悪化させ、血圧をあげることがあるのでゆっくりヘモグロビン値を上げるように投与量 を決めます。鉄剤の副作用としては内服では胃腸障害、注射ではアレルギーからショックになることがあるので始めて注射をするときには注意が必要です。




20.多房性のうほう腎だといわれました。悪性である可能性はあるのでしょうか?また治療はどうしたらよいのでしょう?

腎のう胞はほとんどが良性ですが、一部に悪性腫瘍を合併します。多房性やのう胞内部に中隔を有するものなどは悪性の頻度が高くなると思われます。悪性が疑われるときは、超音波ガイド下で生検、のう胞内容液の細胞診検査、のう胞の造影などを行うことになります。内容液の細胞診で悪性所見がなくても内容液が血性の場合は悪性の疑いは捨て切れません。また、血管造影で診断がつくこともあります。結局は画像診断と生検や細胞診を総合的に評価して、どの程度悪性を疑うのかということになります。腎臓はふたつあったほうがよいのに決まってますが、悪性(癌)の場合は腎臓全体を摘出せざるをえません。ただ、腫瘍の場所や大きさによっては、部分切除もありえます。ただし多発性嚢胞腎とは全く別の病気ですので間違えないようにしてください。




21.腎血管筋脂肪腫といわれました。悪性でしょうか?手術が必要でしょうか?

腎血管筋脂肪腫の診断は難しくない場合が多いので、おそらく間違いないのだと思います。
しかし、中には悪性腫瘍(腎癌)との鑑別が難しいことや見間違いもあるので、実際的には「もう来なくていいよ」とはなかなか言えません。まだ小さな腫瘍で診断が困難な場合は、発育速度(経過)を見た上でより正確な診断と治療法を考えることになります。
 発育速度が速い場合には、悪性の可能性も考慮し、手術も考えましょうということだと思います。しかし、可能性から言えば、経過をみていくだけで十分であるほうがはるかに可能性が高いと思います。
 一般的には、もし腎癌だとして3-4cmになってから手術しても癌の治療成績(予後)はあまり変わりません。また、高齢化(たとえ10年後、65歳でも決して高齢とは言えませんが)による手術の危険度というのは、考えなくてもかまいません。むしろ、合併症の有無(たとえば糖尿病、高血圧、心臓疾患、腎臓や肝臓の機能障害など)が重要です。重症の合併症がなければ、手術自体の危険はあまりありません。
 もし腎癌だとして、3-4cmで手術した場合に、手術以外に追加治療(やるとすればインターフェロンの注射でしょうが)をすることはあまりありません。手術だけで十分であることがほとんどです。
また、手術後のことは、やはり前述の合併症の有無が問題ですが、もし重症の合併症がなければあまり心配することはありません。




22
.繊維筋性異形成による腎動脈の狭窄について教えて下さい。


繊維筋性異形成の原因はまだよくわかっていないように思います。若年者に多いので、何らかの先天的な素因が影響しているのかもしれませんが、単一の疾患・原因ではないような気もします。腎血管性高血圧自体が症候群ですし、その一つの亜型ですので、単一の疾患というよりある種の症候群かもしれません。
 とにかく腎臓の動脈が動脈壁の一部の成分の増殖によって、内腔の狭窄をきたす状態です。腎臓に血液が十分に供給されないと、血流量を増やすために腎臓から昇圧性物質が異常に分泌され、全身の血圧が上昇してしまいます。
 治療としては、風船をふくらませるPTRA(経皮的腎血管拡張術)が好んで行われますが、場合によっては、拡張後に再狭窄がこないようにステント(コイルのようなもの)を留置することもあります。また、何度かPTRAを繰り返す場合もあるかもしれません。血管を風船でふくらませる治療は、心臓などでもよく行われていますが、一番の問題点は術後にまた狭くなる(再狭窄)ことが多いということです。降圧薬だけでは再狭窄の防止はなかなか難しいのではないでしょうか。ただし、繊維筋性異形成の場合は他のタイプよりは治療成績はよいようです。




23.血液透析をしている男子ですが、生殖能力が妨げられることがあるでしょうか?

詳しい原因はよくわかっていませんが、慢性腎不全という状態(維持透析)によって、精巣の機能が低下する場合があります。精巣の機能低下によって、精子形成が障害されますし、男性ホルモンのレベルが低下することによって性欲の減退、勃起力の低下がみられます。
精子形成能と勃起力はパラレルに推移することが多いように思いますが、一方のみが影響を受ける場合もあると思います。このような慢性腎不全が原因である場合には、腎臓移植によって精巣機能が改善することがあります。そのような可能性がある場合は男性不妊外来を受診してみて下さい。




24.後腹膜線維症で尿管ステントが入っています。将来、これがつまったらどういう治療法があるでしょうか?

尿管の通過障害が強くなってステントが入らなくなったときの選択肢としては、
1. 反対側の腎機能が正常であれば、なにもせずに放っておく(腎臓がひとつでも、正常機能であれば日常生活その他に支障ありません)。
2. 腎臓を摘出して、下腹部に植え直す(自家腎移植)。
3. 遊離した回腸の一部を使って、尿管のかわりとする(腎盂回腸膀胱新吻合術)。
4. 腎臓に外ろう(背中からカテーテルを入れる。腎ろう)を置く(畜尿用の袋をいつも装着することになる)。などが考えられます。
 しかし、一般的には尿管ステントの入れ替えは難しいことではありません。




25.慢性の頻尿に悩まされています。膀胱炎と思うのですがすぐにぶり返してしまいます。どんな病気が考えられるでしょうか。

無菌でも薬などで膀胱炎をおこすことはあります。有名なのは、抗アレルギー薬の間質性膀胱炎などがありますので、常時服用している薬などがあれば、チェックしてください。
 また、原因は特定できることも、不明であったりもしますが、この間質性膀胱炎というのは、きっちり診ると結構患者数は多いようにも思います。膀胱鏡での水圧をかけたときの粘膜の状態の観察や、膀胱の生検も場合によると必要かもしれません。
 一度バップフォーを服用されたようですが、この他にも試してみるような薬はあります。ポラキス、ブラダロン、猪苓湯など。また、間質性膀胱炎ですと消炎薬(非ステロイド系あるいはステロイド系)の投与のほかに膀胱内への薬の注入なども行います。
 以上のように、膀胱炎の慢性化、繰り返し、間質性膀胱炎によって膀胱の弾力性が小さくなることはありますが、むしろ問題が神経的・精神的なところにあることもあります。
 動物とちがって、人間は社会的に認められる排尿を要求されますので、排尿・畜尿に関してかなり精神的な要素が占めます。一度いやな経験をすると、それがきっかけで変な癖がついてしまうこともよくあります。たとえば、授業や試験になると必ずトイレに行きたくなる。あるいは、膀胱炎をはじめておこしたときに尿をがまんしてはダメだと言われて、以来頻尿の癖がついてしまう。等々です。
 もし、日頃、かたくなに続けておられるような習慣、たとえば水分をとにかくたくさん摂るようにしているとか、逆に水分を制限しているとか、などがあれば、一度やめてみるのもひとつです。
 また、排尿のことを忘れるような何か夢中になれるようなことを見つけてやってみるのもよいと思います。スポーツは急にはむりでも映画やカラオケでも何でもよいと思います。尿が近い=排尿量が少ない=排尿の充実感がない=気持ちがわるい=またすぐトイレに行きたくなる。これは悪循環ですので、一度なにかのきっかけでうまく
いくと、悪循環が断てるかもしれません。
 以上、器質的な変化をおこす間質性膀胱炎と神経性頻尿についてでは、治療法も異なってきます。




26..腎臓病患者に対するインフルエンザワクチンの安全性および効果につき教えてください。

移植患者へのインフルエンザワクチンの安全性は確立されていますが、効果については多少議論があるようです。UpToDateではこれを推奨しています(Clin Transplant 1996 Dec;10(6 Pt 1):556-60)。一方塩酸アマンタジンは腎障害患者には十分注意して投与すべきとされています。
また透析患者での抗体産生は低下していることが考えられますが、実際の効果は一般とあまり変わりないということで投与が推奨されます(Semin Dial 2000 Mar-Apr;13(2):101-7)
ネフローゼ症候群、IgA腎症、SLEなど対しステロイドなど免疫抑制療法を施行中の患者様にも推奨されています。
なおタマゴや他の薬剤にアレルギーの経験がある方は避けたほうが良いです(花粉症は関係ありません)




27.巣状糸球体硬化症と診断されました。現在、血清クレアチニン値は1.5mg/dLです。担当医からは妊娠はさけるようにと言われました。妊娠すると腎臓は悪くなるのでしょうか?

最初に、十分な検討結果に基づいて、お話しが出来ないことをご了解下さい。
それは、巣状糸球体硬化症患者さんに与える妊娠の影響について評価しうる検討結果がまだないからです。
腎疾患に罹患している患者さんの妊娠・出産の問題は大きく分けて四つあります。
1)妊娠により原疾患が悪化しないか
2)妊娠中毒症の合併頻度が多くならないか
3)胎児に対する影響がないか
4)原疾患の長期予後に影響を与えないか
ということです。
残念ながら、腎疾患ごとの詳細な検討結果はわが国でも外国でもありません。唯一、IgA腎症に関しては、症例が多いのと疾患が妊娠適齢期に発症することもあり、多数例での長期的な検討結果が出て来ています。問題は巣状糸球体硬化症を含めたそれ以外の腎疾患の場合です。いずれも症例数が多くないため、多数例での検討が難し
く、まだ、説得のある結果が出ていません。ある意味では症例数の多くない疾患ですから、
今後も十分評価に価する結果が出る可能性は少ないと思います。
ちなみに、30年間診療にたずさわった北里大学病院でのIgA腎症の患者さんで、途中、妊娠した方と妊娠しなかった方とで上記の4項目について検討しました。いずれも、妊娠がIgA腎症に影響を与えないという結果でした。それぞれ30人以上で10年から30年間の経過が分かった方々での検討結果です。最近では、他の施設で
も同じような結果が出てきています。
その際、北里大学病院での巣状糸球体硬化症を含めたその他の糸球体腎炎での妊娠の影響についても調べてみました。それぞれの疾患の症例数が少なく、必ずしも説得のある結果とは言えませんが、IgA腎症と同様に妊娠の影響はありませんでした。
具体的な1人の患者さんの例で申し上げます。巣状糸球体硬化症の患者さんで30才後半で、すでに腎機能が30%まで低下した方がおりましたが、双児の女児を出産したあとも急に腎機能が低下することはありませんでした。30%まで腎機能が低下していましたから、出産後は徐々に腎機能が低下しましたが、透析に移行したのは
数年後でした。原疾患の巣状糸球体硬化症としてはむしろ自然の経過と考えられます。いまでは、お二人のお子様に恵まれたことを大変よろこんでいらっしゃいます。
質問の例について考えてみます。
腎機能が約50%あるようなので、妊娠・出産は今後の巣状糸球体硬化症の経過に影響を与えないと思います。現在の蛋白尿の程度にもよりますが、もし、ネフローゼ症候群の状態ではなく、1日1g以下と少ない状態であれば、病気自体も急速に進行する可能性は少ないと思います。妊娠・出産後徐々に腎機能が低下することが
あったとしても、それは、おそらく病気の自然経過と思われます。お子様が欲しいとお考えであれば、腎機能がさらに低下する前に妊娠・出産した方がよいと考えます。今後病気が進行すると仮定して、進行するほど蛋白尿が増加する可能性があり、高血圧が合併する可能性があります。妊娠に際して注意することは、蛋白尿が増加してネフローゼ症候群を呈していたり、高血圧です。これらがある場合は、胎児の発育が不十分になり、しばしば早産の原因になります。




28.
腎癌で片方の腎臓をとりました。今後の注意点につき教えてください。

腎癌の術後(腎臓摘出後)で問題となる点は次の3つです。
ひとつは、残りの腎臓の機能、残存腎機能がどの程度かという点。
ふたつめは、腎臓は摘出しているが、転移巣が残っている場合。
最後は、手術の影響です。
 残存腎機能はもともと腎機能が悪いとか、糖尿病や高血圧などの基礎疾患がなければ、まず問題はありません。また、腎機能が少々低下しても、倦怠感や食欲不振などの症状はまず出ません。自覚症状が出るのは、かなり腎臓が悪くなってからで、いわゆる腎不全状態、透析間近の状態になってからですので、病院に通って
いれば見逃す可能性はまずありません。
 腎癌の治療は、転移巣があっても原発巣の腎臓を摘出することがありますので、「手術」=イコール=「一応の癌なし状態」とは言えないこともあります。手術後に出現してくる転移再発については摘除した腎臓の病理検査で、ある程度の予測はできます。
転移・再発による症状として、疲れやすい等の症状だけが出てくることはまずないでしょう。出現する場所のよって、いろいろな症状が出ることが考えられますが、何の症状もなく、フォローアップの定期検査で見つかることの方が、はるかに多いので、しっかりと受診を続けることが大事です。




29.プルーンベリー症候群とは何ですか?

先天的な臓器形成不全の一つですが欧米では、頻度は35000から50000出産に1例、若い母親や双子での頻度が高く、人種差(黒人に多い)もあるようです。 
いろいろな病状を有しますので、それに対応した治療が必要となってきますが、代表的なのは、腹壁の欠損・形成不全、水腎症・尿管拡張・膀胱尿管逆流・残尿過多・巨大尿道などの尿路の障害、停留精巣など。呼吸器(肺)や循環器(心臓)に合併症を有することもあるようです。




30. 突然血尿と左腎臓のあたりがいたくなり、左の尿管が細くなっていると言われました。この原因は何が考えられますか?また今後左の腎臓はだめになってしまうのでしょうか?

結石や癌などの原因が見つからなければ腎盂尿管移行部狭窄症(VUS)という疾患が最も考えられます。単にその部分が狭いこともありますし、その部分の動き(ぜん動)が悪いのかもしれません。
症状としては、悪い方の腰痛(鈍痛)のほかに、急に尿の流れが悪くなったときにはその方の側腹部から腰背部にかけての強い痛みがでる可能性もあります。
 生まれつきだとすれば、成人になって急に腎臓の機能低下が進むことは考えにくく、もし進行するとしても、非常にゆっくりと進行するのだと思います。
もし、今後も右の腎障害が進行して、腎機能が全くなくなっても、反対側の腎臓が正常なら日常生活に全く支障はありません。乳幼児〜小児期でまだ腎機能低下が進行していない時期に発見されれば、手術の適応になるかもしれません。




31. 慢性腎臓病とはなんですか?

1. 慢性腎臓病は糖尿病や高血圧による腎臓障害、IgA(アイジーエイ)腎症などの慢性糸球体腎炎、多発性嚢胞腎など沢山の原因による慢性に経過する腎臓病の総称で、2002年に米国で提唱され現在は世界的な用語になっています。

2. 腎臓の働き(糸球体濾過値)が60%未満に低下すると、心筋梗塞などの心臓病になって死亡する危険性が増します。糖尿病や高血圧、肥満、高脂血症などのメタボリックシンドロームは心臓病を引き起こす重要な原因となりますが、これらにより腎臓が侵され慢性腎臓病になると飛躍的にその危険性が高まります。

3. 慢性腎臓病が進行し腎不全となり透析療法をしなければならなくなる原因の第1位は糖尿病、第2位はIgA(アイジーエイ)腎症などの慢性糸球体腎炎です。年間3万6千人があらたに透析療法を日本では開始しています。

4. 慢性腎臓病は高血圧の原因となります。血圧が130/80以上の方は先の2つの簡単な検査を定期的にうけて、早期発見につとめましょう。

5. 糖尿病が進行すると慢性腎臓病になります。尿中アルブミン濃度が30 mg/gを超えたらその兆候です。腎臓専門医にも受診してください。


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