監修:板橋中央総合病院腎臓内科 塚本雄介

2012年12月にKDIGO Clinical Practice Guideline for the Management of Blood Pressure in Chronic Kidney Diseaseが発表された。国際腎臓病ガイドライン機構であるKDIGO (Kidney Disease: Improving Global Outcome)による7番目の診療ガイドラインとなる。これは実質的には米国腎臓病ガイドライン機構であるK/DOQIが2004年に発表した血圧管理ガイドラインの改訂となっている。診療ガイドラインを理解しそれを自らの診療に適応するためには以下のいくつかの用語の基本点を理解する必要がある。

  • KDIGO診療ガイドラインClinical Practice Guidelineとは、エビデンスに基づいた推奨recommendationである。したがって、推奨強度の1および2が付記されている条文がその基本に則っている。しかしながら、CKDにおけるエビデンスは全ての診療をカバーできるほど十分に生まれていない。このため、エビデンスを伴わないオピニオンを最小限の臨床的な有用性を担保する上で「グレードなし」として付記している。
  • エビデンスとは、作業部会以外の専門家(非臨床医)によるエビデンス評価チームが文献精査を行い、そのガイドラインに必要とされる研究に等級付け(A〜D)をしたデータを示す。ガイドライン作成費用の中でもっとも大きいのがこの部分である。
  • 推奨に含まれていないからといって、その検査または治療を否定している訳ではない。あくまでも有用なエビデンスがない、というだけである。
  • 否定的な推奨の場合は、「の為には」と言った条件が通常付記されており、その治療もしくは検査の全てを否定している訳ではない。「禁止」と言った意味での推奨は基本的にKDIGOでは行わない。
  • 国際ガイドラインは、各国の経済的社会的政治的な事情の斟酌は行わない。これは各国でガイドラインを適応する際に行う必要がある。このために各国での臨床的有用性を担保するために、「診療ガイド」や「ガイドブック」のようなオピニオンによって補完された適応implementationツールを作成する事をKDIGOは推奨している。本特集もその一環である。
  • 最後に最も重要なことは、全ての患者にとって正しいといった推奨はありえない。ガイドラインを個々の患者の病態に即し、かつ患者の意思を尊重して適応することは医師の責任である。

(塚本雄介 KDIGO Implementation Task Force委員長、同常任理事)



contents

第1章:chapter 1
CKD患者の血圧管理のためのKDIGO診療ガイドライン

第2章:chapter 2
その特徴と日本における適応
横浜市立大学医学部循環器・腎臓内科学准教授 田村功一

第3章:chapter 3
推奨の根拠となったエビデンスとは?
琉球大学血液浄化療法部部長(医学部診療教授) 井関邦敏