第3章:chapter 3

KDIGOガイドラインにみるCKDにおける総体的な治療戦略の立て方

監修:塚本雄介(板橋中央総合病院副院長)

KDIGO CKDガイドラインにみるCKDの包括的診療 監修:今井圓裕、稲葉雅章、塚本雄介

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第1章:chapter 1
KDIGO CKDガイドラインとCKD診療ガイド2012
副題:
リスク解析に基づく新しい定義と分類
第2章:chapter 2
KDIGO CKDガイドラインとCKDにおけるミネラル骨異常症(CKD-MBD)の診療
第3章:chapter 3
KDIGOガイドラインにみるCKDにおける総体的な治療戦略の立て方
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KDIGOガイドラインにみるCKDにおける総体的な治療戦略の立て方

CKDの評価と管理のための2012 KDIGO診療ガイドラインは、CKD患者の総体的な診療の指針となっている。ここではその内の治療にとくに的を絞って、推奨文を抜粋している。その内、貧血ガイドラインや血圧管理ガイドラインからも重要な推奨を一部合わせて抜粋している。

血圧管理
3.1: CKD進行の阻止(KDIGO CKDガイドライン)

血圧とレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の阻害

3.1.1: KDIGO血圧ガイドライン2012に記載されているように、血圧の目標値と降圧薬の種類は、その患者の年齢、合併している心血管病とその他の合併症、CKDの進展の危険度、網膜症の有無(糖尿病を伴うCKD患者では)そして治療への忍容性によって個別化する。(グレードなし)

表1:CKD患者の血圧管理のためのKDIGOガイドラインにおける非透析CKD患者における推奨血圧目標値および推奨降圧薬

尿中アルブミン排泄量 糖尿病(ー) 糖尿病(+)
目標血圧
(mmHg)
第1選択薬 目標血圧
(mmHg)
第1選択薬
<30mg/24時間 ≤140/90 (1B) 推奨なし ≤140/90 (1B) 推奨なし
30-300mg/24時間 ≤130/80 (2D) ARBまたはACEI (2D) ≤130/80 (2D) ARBまたはACEI (2D)
>300mg/24時間 ≤130/80 (2C) ARBまたはACEI (1B)   ARBまたはACEI (1B)

()内は推奨強度(1および2)およびエビデンスレベル(A~D)

<腎臓ネット特集24:CKD患者の血圧管理のためのKDIGO診療ガイドラインより>

血糖コントロール
血糖コントロール(KDIGO CKDガイドライン)

3.1.15 糖尿病性腎症を含む糖尿病の微小血管障害の発症を予防し進展を抑制するために、目標とするヘモグロビンA1c (HbA1c)は~7.0%(53mmol/mol)を推奨する。(1A)

3.1.16 低血糖の危険のある患者ではHbA1c <7.0%(53mmol/mol)とするまで治療しないことを推奨する。(1B)

3.1.17 併発症の存在、生命予後が限られている人、または低血糖の危険のある人ではHbA1c目標値を 7.0%(53mmol/mol)より上にすることが望ましい。(2C)

3.1.18 糖尿病を合併するCKD患者の血糖コントロールは、血圧コントロールと心血管障害の危険因子への対策、 ACE-IまたはARBの使用促進、 スタチン、臨床的適応のある場合の抗血小板療法、といった多面的治療介入の一部として行うことが望ましい。(グレードなし)

食事療法
食事療法に関する推奨(KDIGO CKDガイドライン)

3.1.13 糖尿病を有した成人(2C)または有しない成人(2B)でGFRが<30mL/min/1.73m2(GFRカテゴリーのG4-G5)の場合、たんぱく質摂取量を0.8g/kg/日に下げることが望ましい。

3.1.14 CKDが進行する危険がある成人では高たんぱく質摂取(>1.3g/kg/日)を避けることが望ましい。(2C)

食塩摂取量に関する推奨

3.1.19 禁忌でなければ、Na摂取量を<2g/日(5gのNaClに相当)に下げることを推奨する。(1C)

その他の食事指導

3.1.22 CKD患者は教育プログラムの一環として個々のCKDの重症度に合わせて食事指導の専門家による助言および情報を提供されるべきであり、必要に応じて食塩、リン、カリウム、およびたんぱく質摂取についても指導を受けることを推奨する。(1B)

高尿酸血症
高尿酸血症(KDIGO CKDガイドライン)

3.1.20 CKD進展抑制の目的でCKD患者に対し尿酸降下薬を使用することの是非を判断するエビデンスは、高尿酸血症の症候の有無に関わらず不十分である。(グレードなし)

生活習慣
生活習慣(KDIGO CKDガイドライン)

3.1.21 CKD患者に対しては心血管系の健康度および運動耐用能を勘案して身体運動(少なくとも30分、週5回を目標に)、健康的な体重(BMIで20~25、各国の統計に基づく)の達成、および禁煙を行うことを推奨する。(1D)

貧血
貧血の診断

1.2.1 15歳以上のCKD患者ではHb濃度が男性で<13.0 g/dL (<130 g/l)、女性で<12.0 g/dl (<120 g/l)の場合貧血と診断する(グレードなし)

ESAの開始

3.4.2 成人のCKD ND患者のHb濃度が<10.0 g/dl (<100 g/l)の場合、ESA療法を開始するかはHb濃度の低下速度、以前の鉄剤投与への反応、輸血が必要になるリスク、ESA療法に伴うリスク、そして貧血に伴う諸症状の有無に基づき個々に判断することが望ましい。(2C)

ESA維持療法

3.5.1 一般論として成人CKD患者では, ESA製剤をHb濃度が11.5 g/dl (115 g/l) を超えて維持するように投与しないことが望ましい。(2C)

3.5.2 Hb濃度が11.5 g/dl (115 g/l) を超えて維持されることでQOLが改善される場合は治療の個別化が必要であろう、そしてその場合はリスクを受け入れる覚悟をすることになる。(グレードなし)

3.6 全ての成人CKD患者において、ESAによって意図的にHb濃度を13 g/dl (130 g/l) 以上に増やすことをしないよう推奨する。(1A)

鉄状態の評価

2.2.1 ESA療法中は最低3ヶ月に1回は、鉄剤を開始もしくは維持することを含めて,鉄状態(TSATとフェリチン)の評価が必要である。(グレードなし)

2.2.2 ESAを開始または増量するとき、失血時、鉄剤の反応をモニターしているとき、その他鉄貯蔵量が減少していると疑われるときにはさらに高頻度に鉄状態の評価をする。(グレードなし)

CKD-MBD
CKD-MBD(KDIGO CKDガイドライン)

3.3 臨床検査異常を含むCKD骨代謝異常

3.3.1 GFR<45mL/min/1.73m2(GFRカテゴリー G3b-G5)の成人では、ベースライン値の確定および、予測式を使用していればその情報提供として、少なくとも一度は血清カルシウム、リン、PTH、アルカリホスファーゼ活性を測定することを推奨する。(1C)

3.3.2 GFR<45mL/min/1.73m2 (GFRカテゴリー G3b-G5) では、骨密度測定を定期的に測定することは望ましくない(得られる情報が必ずしも正確ではないか、有用ではないため)。(2B)

3.3.3 GFR<45mL/min/1.73m2 (GFRカテゴリー G3b-G5) では、血清リン濃度を当該施設の正常域に維持することが望ましい。(2C)

3.3.4 GFR<45mL/min/1.73m2 (GFRカテゴリー G3b-G5) では、至適なPTH濃度は判明していない。Intact PTH濃度が正常上限を超える場合はまず、高リン血症、低カルシウム血症、ビタミンD欠乏の有無を評価することが望ましい。(2C)

CKD患者におけるビタミンD補給とビスホスホネート

3.3.5: 非透析CKD患者では、 ビタミンDの不足が予想もしくは実際に低値を示さない場合は 、上昇したPTHを抑制する目的でビタミンDまたはビタミンDアナログをルーチンとしては投与しないことが望ましい。(2B)

3.3.6: 強い臨床的根拠がない限り、GFR<30m/min/1.73m2(GFRカテゴリー G4-G5)ではビスホスホネートを投与しないことが望ましい。(2B)

アシドーシス
アシドーシスの管理(KDIGO CKDガイドライン)

3.4.1 CKD患者で血清重炭酸濃度<22 mmol/Lであれば、重炭酸の経口補充により血清重炭酸濃度を正常域に維持することが、それが禁忌でない限り望ましい。(2B)

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第1章:chapter 1
KDIGO CKDガイドラインとCKD診療ガイド2012
副題:リスク解析に基づく新しい定義と分類
今井圓裕(中山寺クリニック院長)
第2章:chapter 2
KDIGO CKDガイドラインとCKDにおけるミネラル骨異常症(CKD-MBD)の診療
稲葉雅章(大阪市立大学大学院医学研究科 代謝内分泌・腎臓病態内科学教授)
第3章:chapter 3
KDIGOガイドラインにみるCKDにおける総体的な治療戦略の立て方
塚本雄介(板橋中央総合病院副院長)