CKDにおける食事療法の実践と問題点 ― リン・タンパク質・カリウム・塩分

C. 食事中カリウム制限の実践と問題点

東京医療保健大学医療保健学部医療栄養学科 北島 幸枝

1.カリウム制限の目的

※ポイント※

腎機能が低下している患者では、カリウムの排泄障害に加え、アシドーシスの合併やRAAS阻害薬の投与で高カリウム血症になりやすい状態にあり、高カリウム食は危険な食事となる。

カリウムは、細胞内液の主要な陽イオン(K+)であり、細胞外液に多いナトリウムイオン(Na+)とともに、体液の浸透圧の維持、酸・塩基平衡の調節、血圧の調節、神経や筋肉の興奮伝導などに関与する重要な電解質の一つである。

食事摂取によるカリウムの約90%は、腎臓から尿中に排泄され、残りの10%は、便中に排泄される。血清 K濃度の調節は、各組織への移行と、腎臓皮質集合管からの分泌により調節されている。腎機能が低下した状態では、ネフロン数が減少し、 カリウムイオンを分泌する集合管の数を減少する。これに対して、腎臓においては、ネフロン当りのカリウム分泌と消化管でのカリウム排泄を亢進させることで、適応している。腎不全の状態では、代償機構によって GFR(糸球体濾過量)が、10 mL/分以下になるまでは、通常は高カリウム血症は呈さない。

腎機能が低下している患者では、カリウムの排泄障害に加え、アシドーシスの合併やRAAS阻害薬の投与で高カリウム血症になりやすい状態にあり、高カリウム食は危険な食事となる。高カリウム血症は、手や口のしびれや不整脈の症状がみられ、重篤な場合は心停止の危険がともなう。このように、腎機能が低下した患者に対するカリウム制限の目的は、高カリウム血症を防ぎ、高カリウム血症による合併症のリスクを回避することである。

2.健常者におけるカリウム推奨量の考え方

※ポイント※

WHOは、高血圧予防のための望ましい摂取量を3,510mg/日と提唱している。

現在、日本人の1日のカリウム摂取量は、2,273mg/日(1)(平成26年度国民健康栄養調査結果、20歳以上)であるが、WHOは、高血圧予防のための望ましい摂取量を3,510mg/日(2)と提唱している。カリウムの推奨量(目安)は、以下のように考えられている。

成人におけるカリウム不可避損失量(カリウムを摂取しない状態で、汗、糞、皮膚、尿、その他から排出されるカリウムの量を不可避損失量といい、その量は最低限補わなければいけない)の推定値を考慮し、また、過去の出納実験のデータより、カリウムの体内貯蔵量を正常に保ち、血漿及び組織間液の濃度を基準範囲に維持するには 1,600 mg/日を摂取することが望ましいとした報告がある(3)。これらの報告から 1,600 mg/日は安全率を見込んだ平衡維持量と考えることができる(3)

平成 22 年、23 年国民健康・栄養調査の結果における日本人成人のカリウム摂取量の中央値は、男性 2,309 mg/日、女性 2,138 mg/日であった。この値はカリウム平衡を維持するのに十分な 摂取量である。50 歳以上の男性のカリウム摂取量の中央値は約 2,500 mg/日であり、現在の日本人 にとってカリウム摂取量 2,500 mg/日は無理のない摂取量であると考えられる。日本人の食事摂取基準2015年版(3) で策定されている目標量は、男性3,000mg/日以上、女性2,600mg/日以上が目安量とされている。

3.CKDにおけるカリウム推奨量とその根拠

※ポイント※

G3bおよび血液透析患者で2,000mg/日以下、G4~G5で1,500 mg/日以下を推奨している。G1~G2では、日本人の食事摂取基準で策定されている目標量(男性3,000mg/日以上、女性2,600mg/日以上)を目安とする。

CKDにおいては、カリウムの体内蓄積は高カリウム血症を伴い、重篤な場合は心停止の危険がともなう。CKD患者では、 CKDのステージが進むほど高カリウム血症の頻度は、高くなる。また、透析患者の死亡原因において、カリウム中毒/頓死は2.7%(4) と報告され、決して少ない数値ではない。CKDに対する食事療法基準におけるカリウムの基準は表1のとおりである(5)

表1.CKDステージによる食事療法基準(4)

ステージ
(GFR)
エネルギー
(Kcal/kgBW/日)
たんぱく質
(g/kgBW/日)
食塩
(g/日)
カリウム
(mg/日)
ステージ1
(GFR≧90)
25~35 過剰な摂取をしない 3≦ <6 制限なし
ステージ2
(GFR60~89)
ステージ3a
(GFR45~59)
0.8~1.0
ステージ3b
(GFR30~44)
0.6~0.8 ≦2,000
ステージ4
(GFR15~29)
≦1,500
ステージ5
(GFR<15)

注)エネルギーや栄養素は、適正な量を設定するために、合併する疾患(糖尿病、肥満など)のガイドラインなどを参照して病態に応じて調整する。性別、年齢、身体活動度などにより異なる。

注)体重は基本的に標準体重(BMI=22)を用いる。

ステージ
5D
エネルギー
(Kcal/kgBW/日)
たんぱく質
(g/kgBW/日)
食塩
(g/日)
水分 カリウム
(mg/日)
リン
(mg/日)
血液透析
(週3回)
30~35 注1,2) 0.9~1.2 注1) <6 注3) できるだけ少なく ≦2,000 ≦たんぱく質(g)×15
腹膜透析 30~35 注1,2,4) PD除水量(L)×7.5
+尿量(L)×5
PD除水量
+尿量
制限なし 注5)

注1)体重は基本的に標準体重(BMI=22)を用いる。

注2)性別、年齢、合併症、身体活動度により異なる。

注3)尿量、身体活動度、体格、栄養状態、透析間体重増加を考慮して適宜調整する。

注4)腹膜吸収ブドウ糖からのエネルギー分を差し引く。

注5)高カリウム血症を認める場合には血液透析同様に制限する。

カリウム制限の開始時期については以下の3点に基づき策定された。

①高カリウム血症の合併頻度やリスクはCKDステージG3以降で上昇(6)

②eGFR40ml/分/1.73m2以下で著明に高カリウム血症の頻度が上昇(7)

③低カリウム血症が死亡のリスクと関係(8)

上記を考慮し、CKDステージ3aまでは制限せず、G3bで2,000mg/日以下、G4~G5で1,500 mg/日以下を推奨している。とくに、G1~G2では高カリウム血症のリスクが少ないため、カリウム制限をする必要はなく、日本人の食事摂取基準2015年版(3) で策定されている目標量(男性3,000mg/日以上、女性2,600mg/日以上)を目安とする。

Korgaonkar らは、高カリウム血症のみならず低カリウム血症も、死亡リスクを有意に上昇させる事を報告している(8)。CKDステージG3−G5の患者を対象(820例)として前向きに、血清カリウム値との相関を平均2.6年間観察した。その結果、低カリウム血症群では、死亡および末期腎不全のリスクが有意に高かった。一方、高カリウム血症群では、死亡と心血管イベントに対して、有意な危険因子となった(8)

CKDステージG5Dでは、保存期からのタンパク質制限の緩和によってカリウムの摂取量も増えることから、日本透析医学会の基準を用い2,000mg/日以下とされた。また、病期(ステージ)別の基準だけでなく、病態に応じた摂取制限が必要と考えられる。糖尿病性腎症患者では、低レニン低アルドステロン症を併発していることが多く、非糖尿病性腎症患者と比べ高カリウム血症のリスクがより高いと考えられる。表6

食事療法基準では、CKDステージG3b以降で制限するカリウムの目標量が推奨されているが、血清カリウム値4.0~5.4mEq/Lを目安に患者個々の血清カリウム値を評価し、RAA系阻害薬などの薬剤の副作用や合併症も同時に確認し、適切なカリウム制限を実施するべきである。

4.カリウム制限の負の側面とその克服する方法

※ポイント※

栄養食事指導では、ステージ3b以降の患者に一律カリウム制限を指導するのではなく、血清カリウム値を一時点および経時的に評価したうえで、患者の年齢や食生活・家族背景などをふまえたカリウム制限指導が必要である。

CKD患者では、高カリウム血症を放置することは危険である。一方、低カリウム血症も、脱力感や食欲不振、不整脈や筋肉の麻痺など重度な状態となりうる可能性がある。上述したように、CKD患者の血清カリウム値4.0mEq/L未満は死亡の有意な危険因子であり(8)、透析患者の血清カリウム値5.0mEq/L未満は生命予後不良因子である(9) という報告がある。よって、低カリウム血症も注意が必要である。

腎機能の低下に伴い、CKDステージ3aではタンパク質0.8~1.0g/kg/日、3b以降ではタンパク質0.6~0.8g/kg/日のタンパク質の摂取制限が指導される。前述したように、肉類や魚類にも多くのカリウムが含まれているため、タンパク質の摂取量を抑えることは、同時にカリウムの摂取量を抑えていることになる。タンパク質食品の摂取制限に加え、野菜類やイモ類、果実類を必要以上に制限することは、カリウム以外のビタミンやミネラル、食物繊維の摂取も制限してしまうことになる。

また、現在、透析導入患者の平均年齢は69.0歳、年末患者の平均年齢は67.5歳と高齢透析患者が多くなっている(4)。近年、透析施設では、食欲不振が続き、透析量に見合った食事摂取ができないため低カリウム血症になる透析患者が増えている。また、透析導入前の食事制限から緩和された食事管理に移行できないため、食事摂取量自体を増やすことができず低カリウム血症になるケースもある。

さらに、導入施設での透析食食事指導において、「野菜やイモ類はすべて水にさらし、茹でこぼすなど必ず下処理をしなければならない」、「生野菜は食べてはいけない」「生くだものは食べてはいけない」のように、食事療法基準に従うがあまり、スタッフが一律な指導を実施しているケースもある。栄養食事指導では、ステージ3b以降の患者に一律カリウム制限を指導するのではなく、血清カリウム値を一時点および経時的に評価したうえで、患者の年齢や食生活・家族背景などをふまえたカリウム制限指導が必要である。

とくに、血清カリウム値が4.0mEq/L未満の場合は、極端な食事制限がなされていないか、食欲状況なども確認し、カリウム制限の緩和を検討する。とくにCKD高齢患者や透析導入時は、カリウム制限よりも食べることを中心に指導しなければいけないこともある。

5.バランスのとれた健康的なカリウム制限食

※ポイント※

  • 血清カリウム値を評価しながら、野菜の摂取を確保し、くだものの摂取は調整しながら食事に加えることで毎日の食事が豊かになる。
  • カリウム制限において、とくに摂取量が少なくなりやすい野菜類やきのこ類には、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンCなどの抗酸化物質や食物繊維が豊富である。

極端にさまざまな食品群を制限した食事は、かえって病態に応じた必要栄養素量が不足し、栄養障害を招く恐れがある。カリウム制限において、とくに摂取量が少なくなりやすい野菜類やきのこ類には、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンCなどの抗酸化物質や食物繊維が豊富である。CKDにおけるビタミンやミネラルの摂取基準はまだ策定されていない。尿量が少なくなるCKDステージ5Dでは、過剰摂取に注意しなければいけないが、サプリメントや健康食品など特定の食品等からの継続した摂取がない限り、過剰症の心配は少ない。それらの摂取基準は、日本人の食事摂取基準(7) の推奨量や目安量を参考にする(表2)。血清カリウム値を評価しながら、野菜の摂取を確保し、くだものの摂取は調整しながら食事に加えることで毎日の食事が豊かになる。

表2.日本人のおもなビタミン、ミネラルの摂取基準(50~69歳)(7)

栄養素 推奨量 目安量 耐容上限量
ビタミン 脂溶性 ビタミンA(μgRAE/日) 男850,女700 2700
ビタミンD(μg/日) 5.5 100
ビタミンE(mg/日) 男6.5,女6.0 男850,女700
水溶性 ビタミンB1(mg/日) 男1.3,女1.0
ビタミンB2(mg/日) 男1.5,女1.1
ナイアシン(mgNE/日) 男14,女11 男350,女250
ビタミンB6(mg/日) 男1.4,女1.2 男55,女45
ビタミンB12(μg /日) 2.4
葉酸(μg/日) 240 1000*1
ビタミンC(mg/日) 100
ミネラル カルシウム(mg/日) 男700,女650 2500
マグネシウム(mg/日) 男350,女290 350*2
亜鉛(mg/日) 男10,女8 男45,女35
銅(mg/日) 男0.9,女0.8 10

*1:サプリメントや強化食品に含まれるプテロイルモノグルタミン酸の量

*2:通常の食品以外からの摂取量

カリウム摂取に配慮したバランスのとれた食事を摂る具体的なポイントは以下のとおりである。

1)カリウム含有量の多い食品群、食品を学ぶ。(表3)

水あめや植物性油脂(オリーブ油、サフラワー油、とうもろこし油、パーム油、ひまわり油、やし油、落花生油)、ショートニングのカリウム含有量はゼロである(10)。それ以外の食品は、微量でもカリウムが含まれている。しかし、食品群ごとにカリウム含有量に特徴があるため、まず、食品群ごとのカリウム量の特徴をつかむ(表4)。さらに、日常よく摂取する食品群中においてカリウム量の多い食品を知ることで、食品選択時に活用できる。

表3.野菜類の主な食品のカリウム量(生100gあたり)

1)カリウム量が300mg以上 2)カリウム量が300mg以下
食品 カリウム量(mg) 食品 カリウム量(mg)
たかな 300 りょくとうもやし 69
ごぼう 320 ブラックマッペもやし 71
ズッキーニ 320 かいわれだいこん 99
かぶ(葉) 330 たまねぎ 150
ふき 330 スナップエンドウ 160
グリンピース 340 茎にんにく 160
ししとう 340 だいずもやし 160
ブロッコリー 360 はやとうり 170
わらび 370 青ピーマン 190
和種なばな 390 さやえんどう 200
のざわな(葉) 390 きゅうり 200
だいこん(葉) 400 とうがん 200
カリフラワー 410 根深ねぎ 200
セロリ 410 黄ピーマン 200
洋種なばな 410 レタス 200
サニーレタス 410 トマト 210
バジル 420 赤ピーマン 210
そらまめ(未熟豆) 440 みょうが 210
れんこん 440 うど 220
西洋かぼちゃ 450 しろうり 220
らっかせい(未熟豆) 450 なす 220
しゅんぎく 460 はくさい 220
たらのめ 460 だいこん(皮むき) 250
みずな 480 ヤングコーン 250
リーフレタス 490 かぶ(皮むき) 250
こまつな 500 さやいんげん 260
しそ 500 オクラ 260
根みつば 500 チンゲンサイ 260
にら 510 にがうり 260
にんにく 510 葉ねぎ 260
たけのこ 520 アスパラガス 270
モロヘイヤ 530 にんじん(皮むき) 270
えだまめ 590 スイートコーン(未熟種子) 290
からしな 620 ミニトマト 290
つくし 640
ほうれんそう 690
よもぎ 890
パセリ 1000

表4.食品群別カリウム量(100gあたり)

*協力透析施設の加重平均栄養素量より作成

    カリウム量(mg)
穀類 29
パン 97
めん類 52
イモ類   458
砂糖類   11
豆類 大豆製品 191
大豆・その他の豆 1338
種実類   472
野菜類 緑黄色野菜 341
その他の野菜 214
果実類   180
きのこ類   369
藻類   2425
誤解類   339
肉類   332
卵類 全卵 130
乳類 牛乳 150
その他の乳製品 148
油脂類   25
2)カリウム含有量の少ない野菜の種類を学ぶ(表3)

カリウム含有量の多い食品を知ることも大切であるが、カリウム含有量の少ない食品を知ることで、カリウム摂取量を調整することが可能である。摂取量を確保したい野菜類は、緑黄色野菜にカリウム量が多いため、カリウム量が少ないその他の野菜を一緒に使い、野菜摂取量の確保と満足度を上げる。

3)食品の特徴や調理方法による食品中のカリウム量の変化を学ぶ

例えば、ほうれん草(生食用を除く)やブロッコリーは、必ず茹でて使用する。野菜やきのこ類を和え物やお浸しに使う場合も、一度茹でてから調味する。イモ類は、皮を剥き切った後、調理まで水に放っておくことがほとんどである。このように食材の特徴や調理方法によっては、カリウムを減らすための下処理がおこなわれるものもある。

4)1日の食事量の目安を学ぶ(食品構成)(表5)

どの食品群、食品からどのくらい摂取すればよいか具体的な量を知ることはもっとも効果的である。

1日の食事量の目安を伝えるために、食品構成表を利用するとよい。また、病院食は一番の教育媒体である。病院食の提供時に献立表も確認できれば、全体量や各食材量など参考になる。

表5.食品構成例(1日の食事量の目安)

*協力透析施設の加重平均栄養素量より作成

1)CKDステージ3以降 2)CKDステージ5D(血液透析患者)
エネルギー:約1800kcal
たんぱく質:約45.0g
動物性たんぱく質比:50.1%
カリウム:2,000mg以下(下処理前)
*エネルギーアップは、調理法の工夫および特殊食品で対応する
エネルギー:約1870kcal
たんぱく質:約66.0g
動物性たんぱく質比:55.3%
カリウム:2,000mg以下(下処理前)
*乳類の摂取がない場合、肉魚類を約10g増やすまたは、野菜類を増やすことが可能
食品群 食品 1日使用量 食品群 食品 1日使用量
穀類 米(めし):2食 440 穀類 米(めし):2食 440
低たんぱくパン 100 パン 90
小麦類等 10 小麦類等 10
いも類 いも類 50 いも類 いも類 50
魚介類   50 いも類   70
肉類   50 肉類   70
鶏卵(全卵) 25 鶏卵(全卵) 50
乳類   0 乳類 ヨーグルト 80
大豆製品 大豆製品 30 大豆製品 大豆製品 40
野菜類 緑黄色野菜 100 野菜類 緑黄色野菜 60
その他の野菜 200 その他の野菜 180
きのこ類 20 きのこ類 20
果実類   150 果実類   60
油脂類 油脂類 26 油脂類 油脂類 26
調味料類 砂糖類 25 調味料類 砂糖類 25
調味料類 10 調味料類 10

注)油脂類は、油やバターを含む

注)砂糖類は、砂糖やはちみつ、ジャムを含む

5)主食、主菜に使う肉類や魚類、卵類の1日の摂取量を決め、それらのカリウム摂取量を学ぶ

穀類や肉類、魚類、卵類、豆類にもカリウム含有量は多い。しかし、エネルギーや病態に応じたたんぱく質の摂取を確保することは、栄養状態・身体状態を良好に維持するために重要である。源である主食(米やパン)や主菜に使うたんぱく質食品(肉類や魚類、卵類)は、毎日、毎食適量摂取しなければならない。そこで、これらに含まれるカリウム量を知っておくことも必要だ。

6)カリウムを減らすための下処理法を学ぶ

水溶性のカリウムは、食品を水にさらす、茹でこぼすことでその食品に含まれるカリウムが減らすことができる。茹でることで、生100gあたりに対し茹で100gあたりのカリウム量は、約10~20%減る。このため、CKD食事療法のカリウム制限に対して食品を下処理するよう指導する。ただ、下処理では、食品を小さく切ること(切り口をたくさん作る)、「水さらし」は切った食品を20分以上水にさらすこと、「茹でこぼす」とは切った食品や水にさらした食品を水から入れ、沸騰したら一度取り出す過程をいう。とくに、「茹でこぼす」作業の仕方を誤っている場合が多く注意する。

ただし、毎日の食事においてすべての食品を下処理することは、食事・料理に対する満足度を下げ、調理に対するストレスを溜めかねない。「水さらし」の時間が長ければ、水っぽさが増し美味しさは減る。キュウリのように生で食し食感を楽しむべきものは、水さらしで十分である。トマトもミニトマト1~2個/日であれば気にしなくてもよい。

血清カリウム値が高値となったとき、野菜の過剰摂取もあるかもしれないが、イモ類やきのこ類の摂取頻度や摂取量が多くないか、乾物類の摂取はどうか、野菜ジュースや乳製品の摂取はどうかなど、詳しく内容を聞き取るべきである。野菜摂取を必要以上に制限するきっかけとなりかねない。

患者の生活背景はさまざまだ。患者によっては、食事の準備が出来る場合と、一人暮らし等で惣菜買いの生活の場合もある。とくにカリウム含有量が多く下処理をしてもカリウム量が減らないイモ類、きのこ類、ほうれん草やかぼちゃ、たけのこなどは、摂取量に注意し、そのほかの野菜類は、水さらしの下処理を行うことで十分である。最近、スーパー等に売られているカット野菜やサラダは、そのまま水にさらすこともできる(写真1)。また、調理においては、茹で汁や煮汁は必ず捨てるようにする。

写真1.加工済み野菜の例

*決まった量が入っている(炒め野菜用:約150g、サラダ用:約200g)

*水さらしが可能

7)カリウムの調整順序を学ぶ

カリウムの摂取量を調整する場合は、まず乳製品や生くだものの摂取を調整する。牛乳には150mg/100g、ヨーグルトには120 mg/100gのカリウムが含まれている。

ステージ3b以降で高カリウム値が継続する場合、しばらくは乳製品の摂取を控えたりくだものは缶詰に変更したりする。

ステージ5Dでは、尿量の減少もあるため、生くだものの摂取目安は、くだものからのカリウム摂取量を1日100mg程度にするとよい。これは多くのくだもので約60gに相当する。しかし、くだものの中でも、メロン、バナナ、キウイフルーツ、アボガドはとくにカリウム含有量の多い食材であるため、避けるべきである。

ただし、前述したように、すべてのステージに置いて血清カリウム値が4.0mEq/L未満の低カリウム血症の場合は、これらを気にする必要はない。患者個々の病態に応じた指導をおこなう。

以上を総合して、血液透析患者におけるK制限を念頭においた献立例を表6に示した。

表6.献立例(血液透析患者)

朝食 昼食 夕食
料理名 食材名 分量 料理名 食材名 分量 料理名 食材名 分量
パン ロールパン 3個(90g) 豚肉の
生姜焼き丼
米飯 220g ごはん 米飯 220g
マーガリン 小さじ1(4g) 豚もも肉(脂身なし) 70g 鮭のムニエル 紅鮭 一切れ(70g)
いちごジャム 小さじ2(12g) たまねぎ 中1/10個(20g) たまねぎ 中1/10個(20g)
サラダ だいこん 1.5cm輪切り(60g) 適量 生しいたけ 1枚(10g)
かいわれだいこん 1/2パック(15g) ※しょうゆ 小さじ1(6g) レモン(全果) 3mm幅スライス1枚(10g)
赤ピーマン 少々(5g) ※酒 小さじ1弱(5g) バター 小さじ2(8g)
ゆで卵 1/2個(25g) ※みりん 小さじ1(6g) 黒こしょう 少々
※フレンチドレッシング 大さじ1(13g) ※しょうが 1/3かけ(4g) 里芋と豆腐の
煮もの
里芋 中1個(50g)
※マヨネーズ 小さじ1(4g) キャベツ 1/2枚(20g) にんじん 少々(5g)
黒こしょう 少々 酢の物 きゅうり 1/6本(15g) 木綿豆腐 1/10丁(40g)
フルーツ
ヨーグルト
ヨーグルト(加糖) 1個(90g) ミニトマト 3個(20g) いんげん 1本(5g)
もも缶詰 半割1/2個(35g) はるさめ(乾燥) 10g ※しょうゆ 小さじ1(6g)
みかん缶詰 4粒(40g) わかめ(乾燥) 0.5g ※砂糖 小さじ1(3g)
紅茶 紅茶 100g ※酢 小さじ1(5g) ※だし 40g
粉あめ 小袋1袋(13g) ※しょうゆ 小さじ2/3(4g) 青梗菜
のソテー
チンゲン菜 1/4株(40g)
※砂糖 小さじ1/2(1.5g) しめじ 1/4パック(20g)
※塩 軽くひとつまみ(0.5g) スイートコーン(冷凍) 小さじ1(5g)
フルーツ りんご 中1/4個(60g) 軽くひとつまみ(0.5g)
ごま油 小さじ1/2(2g)
小さじ1/2(2g)

◆摂取栄養量◆
各エネルギー1942kcal、たんぱく質67.0g、カリウム1972㎎、リン923㎎、食塩5.6g、脂質エネルギー比21.9%

おわりに

CKD患者における高カリウム血症の原因はさまざまであり、透析患者においても食事からの過剰摂取のみが原因ではない。また、 CKD患者においては、タンパク質制限すれば、カリウムの摂取も減少する傾向にある。

血清カリウム濃度は、かならずしも食事カリウム摂取量とは相関せず、カリウムの組織内移行など、その調節機序は複雑である。また、高カリウム血症と同じように低カリウム血症に関しても注意が必要である。

上述したように、カリウム制限は、調理を工夫し、食品含量を知る事で、ある程度対応できる。しかし、カリウム制限は一律に行なうべきではなく、血清カリウム値を考慮することで、食事から摂取するカリウム量を判断すべきである。

文献

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